今日のIR、明日の株価|予想編(2026年10月9日)
10月9日、古野電気(6814)が中間決算を発表しました。
通期の経常利益予想を170億円から220億円へ引き上げ、年間配当予想も160円から210円へ増額しました。
ただ、今回の決算には気になる点があります。
10月6日に好材料が発表され、翌7日の株価は一時8,600円まで上昇。しかし、9日の終値は7,930円まで戻っていました。
業績は好調なのに、なぜ株価は上がり続けなかったのでしょうか。
今回は決算の中身に加え、直近の株価・出来高・信用取引・夜間PTSまで確認し、連休明け10月13日(火)の株価を予想します。
📌 今回の決算は何が良かった?
まずは、会社が発表した数字を確認しましょう。
上期(2026年3〜8月)の実績
| 項目 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 799.2億円 | +16.4% |
| 営業利益 | 128.7億円 | +38.3% |
| 経常利益 | 137.8億円 | +35.5% |
| 中間純利益 | 99.5億円 | −2.4% |
売上高が16.4%増えたのに対し、営業利益は38.3%増加しました。
これは、販売が拡大しただけでなく、売上に対する利益の割合も改善したことを示しています。
一方、中間純利益は前年同期比2.4%減少しています。前年同期に計上された特別利益の反動などがあり、すべての利益が増加したわけではありません。
通期予想も大幅に引き上げ
| 項目 | 従来予想 | 今回予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,485億円 | 1,580億円 |
| 営業利益 | 170億円 | 210億円 |
| 経常利益 | 170億円 | 220億円 |
| 当期純利益 | 130億円 | 170億円 |
| 年間配当 | 160円 | 210円 |
今回の見出しにある「29%上方修正」は、経常利益予想が170億円から220億円へ29.4%引き上げられたことを指しています。
会社は通期の売上高と営業利益について、過去最高の更新を見込んでいます。
さらに、年間配当予想は50円増額されました。
10月9日の終値7,930円を基準にすると、年間210円の予想配当利回りは約2.65%です。
増配は株主還元の面でも前向きな材料といえます。
🚢 営業利益38%増。その主役は何だった?
今回の決算で最も注目したいのは、利益が伸びた理由です。
古野電気の営業利益は、前年同期から約35.6億円増加しました。
会社の決算説明資料によると、最大の押し上げ要因は、船舶用のレーダーや航海機器などを扱う舶用事業の売上総利益が52.0億円増加したことでした。
ただし、その52.0億円には異なる2つの要因が含まれています。
販売拡大と円安の両方が利益を押し上げた
| 舶用事業の売上総利益増加要因 | 金額 |
|---|---|
| 販売増加など | +22.2億円 |
| 為替影響 | +29.8億円 |
| 合計 | +52.0億円 |

意外に感じるかもしれません。
舶用事業では、販売増加などによる利益の押し上げより、円安による為替効果の方が大きかったのです。
ただし、為替の影響は売上総利益だけに現れるわけではありません。
販管費にも為替による約8.8億円の費用増加がありました。
この2つを差し引くと、営業利益段階での為替影響は約21.0億円のプラスです。
営業利益全体の増加額約35.6億円と比べると、約59%に相当します。
つまり、今回の営業増益には販売拡大などの成果がある一方、為替の追い風も非常に大きく寄与していたことが分かります。
中国では新造船向け販売が拡大
では、実際の販売はどこで伸びたのでしょうか。
中心となったのは、中国をはじめとする商船市場です。
中国では造船会社の手持ち工事量が高水準にあり、新造船向けの航海機器などの販売が拡大しました。
船を建造する際には、レーダーや通信・航海関連の機器が必要になります。
船舶の建造が進めば、古野電気の製品需要にもつながるわけです。
一方、欧州では既存の商船向け機器の販売が高水準を維持し、保守サービスも好調でした。
ここには違いがあります。
中国は新しく造る船、欧州は運航中の船に関する需要が特徴的です。
新造船向けの需要が落ち着いても、すでに運航している船には機器の更新や保守が必要です。
この2つの需要があることは、今後の業績を考えるうえで注目したいポイントです。
ただし、今回の資料だけで中国単独の利益貢献額や、欧州の保守サービスの利益率までは判断できません。
舶用以外では防衛装備品も好調
産業用事業では、防衛装備品の上期売上高が33億円となり、前年同期比94.4%増加しました。
高水準の受注残を背景に販売が拡大し、採算改善も利益に寄与しています。
ただし、会社全体の増益を支える中心は、あくまで舶用事業です。
複数の事業が好調でも、どの事業が利益を最も押し上げているかを区別することが大切です。
🔍 下期も利益成長は続くの?
上期の好調は確認できました。
しかし、株価にとっては、これからの利益がどうなるかも重要です。
今回、通期営業利益予想は170億円から210億円へ、40億円引き上げられました。
その内訳を見ると、少し違った景色が見えてきます。
| 上方修正の内訳 | 金額 |
|---|---|
| 上期の予想超過分 | +28.7億円 |
| 下期予想の引き上げ | +11.3億円 |
| 合計 | +40.0億円 |

40億円の上方修正のうち、約72%は上期の実績が従来予想を上回った分です。
一方、残る約28%は、下期について会社が従来より強い見通しを示した部分です。
つまり、今回の上方修正は、すでに実現した好業績を反映した部分が大きいものの、下期の見通しも引き上げられているのです。
下期の販売拡大にも期待
下期の営業利益予想の見直しでは、舶用事業が14.3億円のプラス要因となっています。
また、想定為替レートの見直しも6.0億円のプラス要因です。
ただし、会社は下期の部品価格上昇や販管費の増加も見込んでいます。
さらに、通期営業利益210億円から上期実績128.7億円を差し引くと、下期の営業利益計画は約81.3億円です。
上期より低い利益水準を想定しているため、上期の勢いがそのまま続くと決めつけることはできません。
ここで注目したいのは、販売拡大がコスト上昇をどこまで吸収できるかです。
為替前提にも注意
会社は今回、通期予想の前提となる為替レートを次のように変更しました。
| 通貨 | 従来予想 | 今回予想 |
|---|---|---|
| 米ドル | 1ドル=153円 | 159円 |
| ユーロ | 1ユーロ=183円 | 184円 |
円安方向への見直しです。
今回の業績予想には、この為替前提も織り込まれています。
そのため、今後円高が進んだ場合には、販売が好調でも利益予想に影響する可能性があります。
古野電気の業績を追ううえでは、商船需要と為替をセットで確認する必要があります。
📉 好材料が出たのに、なぜ株価は下がった?
ここからは、今回の株価予想で特に重要な部分です。
古野電気は10月6日、上期業績予想の上方修正を発表しました。
この時点で、通期業績予想と配当予想については、10月9日に改めて発表する予定とされていました。
つまり、投資家は10月9日の決算発表を待つ前から、業績改善を意識できる状況にありました。
では、その後の株価はどう動いたのでしょうか。
10月6日〜9日の株価と出来高
| 日付 | 終値 | 前日比 | 出来高 |
|---|---|---|---|
| 10月6日(火) | 8,130円 | +220円 | 362,000株 |
| 10月7日(水) | 8,430円 | +300円 | 847,300株 |
| 10月8日(木) | 7,990円 | −440円 | 436,200株 |
| 10月9日(金) | 7,930円 | −60円 | 440,000株 |
10月7日は、出来高が84万7,300株まで増加しました。
これは今回確認した直近10営業日の中で、最も多い出来高です。
株価は一時8,600円まで上昇しました。
ところが、翌8日は大きく反落。
9日の終値は7,930円となり、10月6日の終値8,130円を下回りました。
上方修正への期待は、どこまで織り込まれていた?
10月5日の終値は7,910円でした。
それに対し、10月9日の終値は7,930円です。
10月6日の上方修正発表前と比べて、株価はわずか20円高い水準まで戻っていたことになります。
10月7日に高値8,600円を付けた後、買いの勢いが続かなかったことは確かです。
ただし、その理由が利益確定売りだったのか、通期予想への期待が高すぎたのか、あるいは別の要因だったのかは、株価だけでは分かりません。
重要なのは、好材料に反応して買われた後、上昇分の大半が失われていたという事実です。
10月9日の新たな決算発表が、この流れを変えるきっかけになるのか。
それが連休明けの焦点です。
🌙 決算発表後、夜間PTSではどう動いた?
10月9日の決算は、東証の取引終了後に発表されました。
そこで、夜間PTSの動きも確認します。
PTSとは、証券取引所とは別の仕組みで株式を売買できる市場です。
10月9日22時41分時点のPTS
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 東証終値 | 7,930円 |
| PTS株価 | 8,099円 |
| 東証終値比 | +169円(+2.13%) |
| PTS高値 | 8,110円 |
| PTS安値 | 8,000円 |
| PTS出来高 | 8,300株 |
| 平均約定価格(VWAP) | 約8,071円 |

決算発表後、PTSでは8,000円台まで買われています。
この時点では、今回の通期上方修正と増配に対して、買いが優勢となる反応が見られたといえます。
ただし、出来高は8,300株でした。
同日の東証出来高44万株と比べると、約1.9%の規模です。
PTSは東証と参加者や流動性が異なるため、この+2.13%がそのまま10月13日の値動きになるとは限りません。
それでも、決算発表後に実際に8,000円台で売買が成立したことは、参考になる情報です。
⚖️ 信用取引から見た、もう一つの注意点
株価が上がるかどうかを考える際には、信用取引の状況も参考になります。
信用買いとは、証券会社などから資金を借りて株式を購入する取引です。
信用買いで保有された株式は、将来売却される可能性があるため、買い残が多いと戻り売りを意識する投資家もいます。
10月2日時点の週次信用残高
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 信用買い残 | 449,200株 |
| 信用売り残 | 19,900株 |
| 信用倍率 | 22.57倍 |
信用買い残が信用売り残を大きく上回っています。
ただし、9月11日の信用買い残は460,100株でした。
その後、10月2日時点では449,200株となっており、一方的に増加し続けているわけではありません。
また、10月9日速報の証金残高では、融資残高14,000株、貸株残高100株となっています。
こちらは週次信用残高とは集計対象が異なるため、直接比較はできません。
信用需給はやや慎重に見たい材料ですが、これだけで株価が下がると判断することはできません。
特に、10月6日の上方修正発表後に市場全体の信用買い残がどう変化したかは、まだ確認できていません。
🗳️ あなたは10月13日の株価をどう予想しますか?
古野電気の通期上方修正、50円増配、そして決算発表後のPTSでの上昇。
これらの材料を、連休明けの市場はどう評価するでしょうか?
今回は3連休を挟むため、いつもよりじっくり予想できるチャンスです!
決算の数字を振り返りながら、「上がる?」「下がる?」「それとも横ばい?」と、ご自身の考えで選んでみてください。
📅 投票締切:10月13日(火)午前8時59分(東証の取引開始前)
📊 予想の基準:10月9日(金)の終値7,930円
このあとJ-SCFIの予想も発表しますが、まずは皆さん自身の予想を聞かせてください。
予想が当たるかどうかよりも、自分で考えて、あとから振り返ることが大切です。
連休明けには、実際の株価と比べる【答え合わせ編】も公開予定です。
ぜひ気軽に1票を投じて、一緒に株価の動きを学んでいきましょう!
「あなたの予想は多数派? それとも少数派? 投票後は『みんなの予想を見る』から結果もチェックしてみてください。」
🎯 J-SCFIは10月13日の株価をどう予想する?
今回のJ-SCFIは、10月13日(火)の終値が10月9日(金)の終値を上回ると予想します。
J-SCFIの中心予想
+3%の上昇
| 項目 | J-SCFI予想 |
|---|---|
| 基準株価(10月9日終値) | 7,930円 |
| 予想方向 | 上昇 |
| 想定騰落率 | +1〜5% |
| 中心予想 | +3% |
| 想定株価 | 約8,009〜8,327円 |
| 中心株価 | 約8,168円 |
上昇を予想する3つの理由
① 通期の上方修正に、下期の販売拡大という裏付けがある
今回の発表では、上期の好調だけでなく、下期の営業利益予想も引き上げられました。
舶用事業を中心に、会社が今後の販売拡大を見込んでいることを評価しています。
② 10月7日の上昇分は、決算発表前にほぼ失われていた
10月9日の終値は7,930円で、10月5日の終値7,910円とほぼ同水準でした。
10月6日の先行発表を受けた上昇が続かなかったため、今回の通期上方修正と増配が改めて評価される余地があると考えます。
③ 決算発表後のPTSでは、プラスの反応が確認できた
10月9日22時41分時点のPTS株価は8,099円で、東証終値比+2.13%でした。
取引規模は限定的ですが、少なくとも決算発表後の初期反応は好意的でした。
それでも、大幅上昇を前提としない理由
一方、慎重に見る材料もあります。
10月7日は出来高を伴って上昇したものの、翌8日に大きく反落しました。
8,000円台では、再び売りが出る可能性があります。
また、信用買い残は売り残を大きく上回っています。
そして、今回は3連休を挟みます。
10月9日の夜時点では、連休中の米国株式市場や為替の動きはまだ分かりません。
古野電気は今回の利益成長で為替の追い風が大きかったため、円高方向への変化には注意が必要です。
これらを踏まえ、J-SCFIは上昇方向を予想しながらも、中心予想を+3%にとどめました。
※この予想は10月9日夜時点で確認できる情報に基づくものです。想定レンジは独自の予測であり、統計的な信頼区間や株価を保証するものではありません。
📚 今日のIRから学べること
「好決算なのに株価が下がる」のは、なぜ?
今回の古野電気は、投資初心者にとって大切なことを教えてくれる事例です。
10月6日に上期業績予想の上方修正が発表されました。
翌7日には株価が一時8,600円まで上昇しました。
しかし、その後は下落し、9日の終値は7,930円となりました。
なぜ、良いニュースが出たのに株価は上がり続けなかったのでしょうか。
ここで知っておきたいのが、株価は今の業績だけでなく、将来への期待でも動くということです。
例えば、ある会社が「利益は20%増えそうです」と発表したとします。
その数字自体は好調です。
しかし、投資家が事前に「30%増えるかもしれない」と期待していたなら、20%増という発表でも株価が下がる場合があります。
反対に、投資家がほとんど期待していなかった会社が好決算を発表すれば、株価が大きく上昇することもあります。
つまり、株価を動かすのは、発表された数字と、発表前の期待との差なのです。
今回の古野電気でも、10月6日の先行発表によって、通期上方修正への期待が高まっていた可能性があります。
ただし、市場全体が具体的にどの水準を期待していたかは、今回確認した情報だけでは断定できません。
だからこそ、決算の数字だけでなく、発表前後の株価や出来高を見ることが役立ちます。
もう一つ大切なのは、利益の「中身」
今回の営業利益は38.3%増加しました。
しかし、その背景には販売拡大と為替効果の両方がありました。
販売が増えたことで伸びた利益と、円安で押し上げられた利益では、今後の見通しが異なる場合があります。
為替の追い風が弱まっても販売拡大が続くのか。
部品価格が上がっても利益率を維持できるのか。
こうした疑問を持つことで、決算をより深く理解できます。
何が起きた? → なぜ利益が増えた? → その成長は続く? → 市場はどこまで期待していた?
この順番で考えることが、ニュースと株価のつながりを学ぶ第一歩です。
🌷 まとめ|連休明け、市場は何を評価する?
古野電気は、通期の経常利益予想を220億円へ引き上げ、年間配当予想も210円に増額しました。
利益成長の中心は舶用事業ですが、販売拡大だけでなく為替効果も大きく寄与しています。
株価は10月7日に一時8,600円まで上昇した後、9日には7,930円まで反落しました。
一方、決算発表後の夜間PTSでは8,099円まで買われ、初期反応はプラスでした。
J-SCFIは、これらを踏まえて10月13日の終値を+3%中心の上昇と予想します。
ただし、3連休中の外部環境や、8,000円台での売り圧力には注意が必要です。
次回の【答え合わせ編】では、実際の終値・出来高・市場全体の動きを確認し、今回の予想と照らし合わせます。
好決算を見て終わるのではなく、その後の株価まで確認する。
一緒に、ニュースと株価のつながりを学んでいきましょう。
📚 参考資料
- 古野電気|公式IR・投資家情報
- 古野電気「2027年2月期 第2四半期決算短信」(2026年10月9日)
- 古野電気「2027年2月期 第2四半期決算説明資料」(2026年10月9日)
- 古野電気「連結業績予想及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」(2026年10月9日)
- 株価・出来高・信用残高・PTS:2026年10月9日時点までの市場データ
免責事項: 本記事は投資初心者向けの学習・情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価予想は将来の値動きを保証するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。

