今日のIR、明日の株価|2026年10月26日(月)
経常利益の予想を59.4%も引き上げた長野計器(7715)。
10月23日の発表を受け、J-SCFIは翌営業日の株価を中心+8.0%と予想しました。
ところが、10月26日の終値は+1.06%。
朝には+5%を超える場面もありましたが、その上昇は続きませんでした。
なぜでしょうか?
今回、改めて調べると、重要な数字が見つかりました。
会社の従来予想に対して59.4%の上方修正でも、市場が事前に予想していた利益と比べると、上振れは約4%だったのです。
この違いを手がかりに、長野計器の株価が高値から失速した背景を考えてみましょう。
📊 ① 株価は+1.06%。朝の上昇は続かなかった

まず、10月26日の株価を確認します。
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| 前営業日終値(10/23) | 3,780円 |
| 始値 | 3,850円 |
| 高値 | 3,970円 |
| 安値 | 3,770円 |
| 終値 | 3,820円 |
| 前日比 | +40円(+1.06%) |
| 出来高 | 343,300株 |
| 売買代金 | 約13.23億円 |
朝9時20分には+5.03%
10月26日の株価は、3,850円で取引を開始しました。
その後、9時20分には3,970円まで上昇。
前営業日終値3,780円から、約5.03%の上昇です。
しかし、午後1時56分には3,770円まで下落しました。
最終的には3,820円で取引を終えています。
つまり、この日の値動きは、
朝の上昇 → 日中の反落 → 小幅高で終了
という展開でした。
出来高は前営業日の約2.9倍
| 日付 | 出来高 |
|---|---|
| 10月23日 | 119,100株 |
| 10月26日 | 343,300株 |
| 増加倍率 | 約2.88倍 |
前営業日より多くの株式が売買されました。
一方、株価は朝の高値から150円下落して終了しています。
好材料に反応して株価が上昇したものの、その価格を維持できなかったことが、今回の最大の特徴です。
では、なぜ買いが続かなかったのでしょうか。
🌏 ② 市場全体はどうだった?半導体関連株に逆風
個別銘柄の値動きを考えるときは、会社のニュースだけでなく、市場全体の状況も確認する必要があります。
10月26日の日本株市場は、日経平均が下落する一方、TOPIXは小幅に上昇しました。
| 比較対象 | 10月26日の騰落率 |
|---|---|
| 日経平均 | −0.80% |
| TOPIX | +0.18% |
| 精密機器(東証33業種) | +0.21% |
| 電機・精密(TOPIX-17) | −1.22% |
| 長野計器(7715) | +1.06% |
長野計器はTOPIXを0.88ポイント、精密機器業種を0.85ポイント上回りました。
市場全体と比較すれば、決して弱い結果ではありません。
半導体関連の大型株には売り
一方、この日はAI・半導体関連株への売りが目立ちました。
例えば、半導体製造装置関連のSCREENホールディングスやKOKUSAI ELECTRICなどが下落しています。
長野計器も、半導体関連需要が業績改善の重要な要因となっている企業です。
そのため、半導体関連株に売りが広がる市場環境は、長野計器の株価にも影響した可能性があります。
ただし、長野計器自身はプラスで取引を終えています。
したがって、半導体関連株の下落だけで、今回の失速を説明することはできません。
市場環境は一つの背景として考え、次に企業の業績予想と市場の期待を比較してみましょう。
🔍 ③ なぜ高値から失速した?答えの手がかりは「市場の期待」
今回の答え合わせで、最も重要な項目です。
10月23日、長野計器は2027年3月期の業績予想を上方修正しました。
会社の従来予想からは大幅な上方修正
| 項目 | 従来予想 | 修正後 | 修正率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 675億円 | 746億円 | +10.5% |
| 営業利益 | 68億円 | 100億円 | +47.1% |
| 経常利益 | 64億円 | 102億円 | +59.4% |
| 純利益 | 43億円 | 71億円 | +65.1% |
この数字だけを見ると、非常に強い好材料に感じられます。
実際、会社は半導体工場の付帯設備向け圧力センサなどの需要増加を、上方修正の理由として説明しています。
しかし、株価を考えるときには、もう一つ比較すべき数字があります。
それが、市場の事前予想です。
📌 新たな発見:市場はすでに98億円の経常利益を予想していた

10月22日時点のIFISコンセンサスを確認すると、興味深い結果が分かりました。
コンセンサスとは、証券会社などのアナリストが予想した業績を集計したものです。
| 項目 | 市場の事前予想 | 今回の会社予想 | 差 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 755億円 | 746億円 | −1.2% |
| 営業利益 | 99億円 | 100億円 | +1.0% |
| 経常利益 | 98億円 | 102億円 | +4.1% |
| 純利益 | 68億円 | 71億円 | +4.4% |
※市場予想は2026年10月22日時点のIFISコンセンサスです。
ここが今回の重要なポイントです。
会社は経常利益予想を64億円から102億円へ引き上げました。
しかし、市場では発表前から98億円の経常利益が予想されていました。
つまり、今回の102億円という数字は、会社の従来予想を大きく上回った一方、市場の事前予想との差は約4.1%だったのです。
さらに、売上高は市場予想を下回っています。
🍀 初心者向けに考えてみましょう
例えば、ある会社が「今年の利益は64億円になりそうです」と発表していたとします。
ところが、投資家たちはすでに、
「実際には100億円近くになるのでは?」
と期待していました。
その後、会社が正式に102億円と発表したら、どうでしょうか。
会社の以前の予想からは大幅な増額です。
しかし、投資家が期待していた98億円と比べると、驚きはそれほど大きくないかもしれません。
これが、株価を考えるときに重要な「市場の期待との差」です。
もちろん、コンセンサスは市場参加者全員の予想を表すものではありません。
それでも、今回の上方修正が、完全に予想外の好材料ではなかった可能性を示す重要な手がかりになります。
8月の決算でも、利益改善はすでに見えていた
実は、長野計器の好調は10月23日に初めて明らかになったわけではありません。
8月12日の第1四半期決算では、すでに次のような改善が確認されていました。
| 第1四半期実績 | 前年同期比 |
|---|---|
| 売上高 | +12.6% |
| 営業利益 | +51.7% |
| 経常利益 | +64.3% |
当時から半導体関連需要の回復が見えていました。
今回の上方修正は、その好調が通期の会社予想に反映されたものと考えられます。
つまり、市場が利益改善をある程度予想していたことには、業績面の裏付けもあったのです。
では、なぜ朝は+5%まで上昇したの?
ここで疑問が生まれます。
市場がすでに利益改善を予想していたのなら、なぜ朝は大きく上昇したのでしょうか。
今回の発表は、市場予想を大幅に上回ったわけではありませんが、経常利益では約4.1%上回っています。
さらに、会社が正式に通期予想を引き上げたことで、業績回復への確信が強まった投資家もいた可能性があります。
実際、朝9時15分に配信された市場ニュースでは、長野計器の上昇が業績上方修正を好感した動きとして報じられています。
したがって、今回のIRが買い材料にならなかったわけではありません。
ただし、その買いが終値まで続くほど強くはなかった、という結果です。
もう一つの背景:直近の株価下落
長野計器の株価は、10月14日の4,440円から10月23日の3,780円まで、約14.9%下落していました。
そのため、今回の上昇局面では、株価の戻りを待っていた投資家が売却した可能性もあります。
ただし、実際に戻り売りがどれほど出たかは確認できません。
ここは、株価推移から考えられる補助的な仮説です。
🔎 今回の結論
ここまでの調査から、今回の高値からの失速については、次のように考えます。
最も重要なのは、会社の大幅上方修正に対して、市場ではすでに相当程度の利益改善が予想されていたことです。
経常利益59.4%上方修正という見出しは非常に強い好材料でした。
しかし、市場予想との差は約4.1%。
朝は正式な上方修正を評価する買いが入ったと考えられますが、半導体関連株への売りが目立つ市場環境もあり、その上昇を維持するだけの買いが続かなかった可能性があります。
直近の株価下落を背景とした戻り売りも、補助的な要因として考えられます。
ただし、個々の売買理由を直接確認できているわけではありません。
今回の値動きは、「好材料が否定された」というよりも、「好材料は評価されたものの、事前の期待を大きく超える内容ではなかった」と考えると理解しやすい結果です。
🎯 ④ J-SCFI予想・PTS・読者投票の答え合わせ
それでは、10月23日に確定した予想と、実際の結果を比較します。
J-SCFI独自予想
| 採点項目 | 事前予想 | 実績 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 方向 | 上昇 | +1.06% | ✅ 的中 |
| 本命レンジ | +5〜+11% | +1.06% | ❌ 外れ |
| 中心騰落率 | +8.0% | +1.06% | 6.94ポイント下振れ |
| 中心株価 | 4,082円 | 3,820円 | 262円下振れ |
結果は、方向的中・本命レンジ外れ・中心値6.94ポイント下振れでした。
今回の予想で不足していた視点
10月23日の予想編では、次の材料を重視していました。
- 経常利益予想の59.4%上方修正
- 半導体工場向け圧力センサの需要拡大
- 下半期も高水準の利益を見込むこと
- 直近の株価下落から反発する可能性
いずれも重要な材料です。
しかし、今回の追加調査で、会社の従来予想と市場の事前予想を比較する視点が不足していたことが分かりました。
経常利益の上方修正率59.4%を強く評価した一方、市場がすでに98億円を予想していた点を十分に織り込めていませんでした。
これが、中心+8%という予想を振り返るうえで、最も重要な反省点です。
今後は、会社予想の修正率だけでなく、確認できる場合には市場コンセンサスとの差も、独自予想の確定前に評価する必要があります。
🌙 PTS参考情報との比較
10月23日の独自予想確定後に確認したPTSは、次のとおりでした。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| PTS参考価格 | 4,050.5円 |
| 基準終値比 | +7.16% |
| PTS出来高 | 900株 |
| 10月26日通常市場終値 | 3,820円 |
| 実際の騰落率 | +1.06% |
PTSでは約7%の上昇を示していました。
しかし、翌営業日の終値は+1.06%。
PTS価格と通常市場終値には230.5円の差がありました。
PTSは参加者や売買規模が通常市場と異なるため、その価格が翌日の終値になるとは限りません。
今回も、その違いが表れた結果です。
なお、PTSは独自予想の採点には含めません。
🗳️ 読者投票の結果
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 投票人数 | 1人 |
| 選択されたレンジ | +5%以上〜+10%未満 |
| 実際の騰落率 | +1.06% |
| 判定 | レンジ外 |
今回の読者予想も、上昇方向は一致しましたが、上昇幅は実績を上回りました。
ただし、投票は1票のため、読者全体の傾向を示すものではありません。
ご参加ありがとうございました。
📚 ⑤ 今日の相場から学べること|上方修正を見るときの新しい視点

今回の長野計器から学べることは、単に「良い決算でも株価は上がらないことがある」という話ではありません。
もう一段踏み込むと、同じ業績発表でも、何と比較するかによって評価が変わるという重要な学びがあります。
学び① 「会社予想との差」と「市場予想との差」は違う
今回の経常利益102億円には、2つの見方があります。
| 比較対象 | 経常利益 | 102億円との差 |
|---|---|---|
| 会社の従来予想 | 64億円 | +59.4% |
| 市場の事前予想 | 98億円 | +4.1% |
どちらも正しい数字です。
しかし、意味は異なります。
会社の従来予想との比較では、企業の業績見通しがどれだけ改善したかが分かります。
一方、市場予想との比較では、発表内容が投資家の事前期待をどの程度上回ったかを考える手がかりになります。
株価への影響を考えるときには、後者も重要です。
学び② 業績が良いことと、株価が大きく上がることは別
今回の長野計器は、半導体関連需要を背景に業績見通しを大きく引き上げました。
この企業の業績改善そのものが、10月26日の株価によって否定されたわけではありません。
しかし、翌営業日の株価上昇幅は、J-SCFIの予想を下回りました。
企業の業績を評価することと、翌日の株価を予想することには、異なる視点が必要なのです。
学び③ 市場予想にも限界がある
では、今後はコンセンサスだけを見ればよいのでしょうか。
そうではありません。
アナリスト予想は、市場参加者全員の期待を示すものではありません。
また、予想を出している人数や、更新された時期によっても参考価値は変わります。
市場予想を上回ったから必ず株価が上がるわけでも、下回ったから必ず下がるわけでもありません。
大切なのは、会社予想・市場予想・実際の株価を、それぞれ別の情報として確認することです。
次の決算で注目したいこと
今回の株価反応が予想より小さかったとしても、長野計器の企業分析はここで終わりではありません。
修正後の通期経常利益予想は102億円。
上半期予想46億円を差し引くと、下半期には56億円の経常利益を見込んでいる計算です。
今後は、半導体工場向け圧力センサの需要が続くか、受注が売上につながるか、利益率を維持できるかを確認していきたいと思います。
🍀 今日のまとめ
長野計器の株価は、経常利益59.4%上方修正を受けて朝に上昇しましたが、終値では+1.06%にとどまりました。
今回の追加調査では、市場が事前に98億円の経常利益を予想しており、修正後の102億円との差が約4.1%だったことが分かりました。
この事前期待の高さが、上昇幅が限定的だった背景として重要だった可能性があります。
J-SCFIの予想は、方向は的中したものの、上昇幅を大きく見積もりすぎました。
今回の結果から得られた教訓は明確です。
大幅な上方修正を見たときほど、「市場はすでにどこまで予想していたのか?」を確認する。
この視点を、次回以降の企業分析と株価予想にも生かしていきます。
📝 予想・検証記録
| 記録項目 | 内容 |
|---|---|
| IR発表 | 2026年10月23日 15:30 |
| J-SCFI独自予想確定 | 2026年10月23日 22:20 |
| J-SCFIによるPTS初確認 | 2026年10月23日 22:28 |
| 予想編公開 | 2026年10月23日 23:32 |
| 読者投票締切 | 2026年10月26日 08:59 |
| 答え合わせ対象 | 2026年10月26日通常市場 |
| 答え合わせ編公開 | 2026年10月26日 21:35 |
独自予想:上昇/中心+8.0%/本命+5〜11%
実績:+1.06%
採点:方向的中/本命レンジ外れ/中心値6.94ポイント下振れ
※PTSは独自予想を確定した後に確認した参考情報であり、採点対象には含めていません。
🔗 10月23日の予想編
今回の答え合わせは、10月23日に公開した独自予想を変更せずに検証しています。
予想の根拠や、半導体工場向け圧力センサの仕組みについては、前日の予想編で詳しく解説しています。
長野計器(7715)は大幅上方修正で反発する? 半導体向け圧力センサの好調と株価を徹底分析

📖 参考資料
- 長野計器「2027年3月期 第2四半期(中間期)及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年10月23日)
- 株予報Pro「長野計器(7715)業績予想・コンセンサス」(2026年10月22日時点)
- 株探「長野計器が大幅反発、半導体業界向け需要旺盛で業績予想を上方修正」(2026年10月26日)
- 2026年10月26日の日本株市場概況
- 長野計器の10月23日・10月26日株価時系列
- J-SCFI「長野計器(7715)10月23日予想編」
- 読者投票結果(2026年10月26日締切)
⚠️ 投資に関する注意事項
本記事は、企業のIR情報と株価の関係を学ぶための教育・情報提供を目的としています。
特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株価の変動には複数の要因が関係しており、記事内の分析には確認できた事実と、それに基づく仮説が含まれます。
投資の最終判断は、ご自身の責任でお願いいたします。

